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更新日:令和6(2024)年5月8日

ページ番号:4643

千葉県感染症情報センター

千葉県感染症情報センターとは、「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」による施策として位置づけられた感染症発生動向調査により得られた情報を集計・分析するとともに、情報提供・開示するため、千葉県衛生研究所に設置されています。

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週報

2024年第18週(2024年4月29日~2024年5月5日)(PDF:1,075.6KB)

2024年4月29日から2024年5月5日までの期間(2024年第18週)の千葉県結核・感染症週報を掲載しています。

※過去の注目疾患:2015年2016年2017年2018年2019年2020年2021年2022年2023年2024年

※過去の週報:2012年~2016年週報2017年週報2018年週報2019年週報2020年週報2021年週報2022年週報

       2023年週報2024年週報

今週の注目疾患

梅毒

2024年第18週に県内医療機関から先天梅毒を1例含む6例の届出があり、本年の累計届出数は150例となった。累計届出数は、1999年の現行感染症サーベイランス開始以降過去最多となった2023年と同水準で推移しており、今後の発生動向に注意が必要である(図1)。

図1:2015年~2024年第18週千葉県の梅毒年別累積届出数

2024年第1週から第18週までに県内医療機関から届出のあった梅毒150例のうち、性別では男性111例(74%)、女性39例(26%)であった。

年代別では、男性は40代が36例(32%)で最も多く、次いで50代が26例(23%)、20代と30代がそれぞれ17例(15%)と続いた。女性は20代が17例(44%)で最も多く、次いで30代が8例(21%)、40代が7例(18%)と続いた(図2)。

病型別では、男性は早期顕症梅毒第Ⅰ期(以下、第Ⅰ期)が70例(63%)と最も多く、次いで早期顕症梅毒第Ⅱ期(以下、第Ⅱ期)が21例(19%)であった。女性では無症候(無症状病原体保有者)が17例(44%)で最も多く、次いで第Ⅱ期が16例(41%)、第Ⅰ期が6例(15%)であった(図2)。早期顕症梅毒は最近感染したことを示し、最も感染力が高い病型とされているため、注意が必要である1)。第18週には先天梅毒の届出が1例あり、2024年で1例目の先天梅毒の届出となった。

図2a:2024年第1週~第18週の梅毒年代別病型別届出数図2b:2024年第1週~第18週の梅毒年代別病型別届出数

 

全国における梅毒の届出数は、2022年は13,258例、2023年は14,906例(暫定値)、2024年は、第17週までに4,190例(暫定値)と、本県同様、1999年以降において高い水準にある2,3,4)

梅毒は梅毒トレポネーマ(Treponema pallidum)によって引き起こされる細菌性の感染症であ る。感染経路は菌を排出している感染者との性器や肛門、口腔などの粘膜の接触を伴う性行為や疑似性行為によるものである。予防としては、感染者との性行為や疑似性行為を避けることが基本となるが、病変の存在に気づかない場合もあるため、性交渉の際にはコンドームを適切に使用することが感染リスクの低減につながる。また不特定多数の人との性的接触は感染リスクを高めることから回避することが望ましい1,5,6)

妊婦が梅毒に感染すると、胎盤を通じて胎児に感染し、流産、死産、先天梅毒を起こす可能性がある。先天梅毒は多臓器の慢性感染症であり、生後まもなく皮膚病変、肝脾腫、骨軟骨炎などを認める早期先天梅毒と、乳幼児期は症状を示さず、学童期以降にHutchinson3徴候(実質性角膜炎、感音性難聴、Hutchinson歯)を呈する晩期先天梅毒がある。感染した妊婦への適切な抗菌薬治療によって、母子感染するリスクを下げることが出来る1,6)

梅毒は適切な治療を受けることで完治可能な疾患である。早期発見・早期治療が重要であり、再感染を予防するため、パートナーもともに検査を受けることが推奨される。

 

梅毒は、感染後3~6週間の潜伏期間を経て、継時的に様々な臨床症状が逐次出現する。

  • 早期顕症梅毒第Ⅰ期
    感染約3週間後に梅毒トレポネーマの感染部位(主に陰部、口唇部、口腔内、肛門等)に、しこりが形成されることがある。無治療でも数週間で軽快する。感染した可能性がある場合には、この時期に梅毒の検査が勧められる。
  • 早期顕症梅毒第Ⅱ期
    第Ⅰ期の症状消失後、4~10週間の潜伏期間を経て、手のひら、足の裏、体全体にうっすらと赤い発疹がでることがあるほか、脱毛、発熱・倦怠感の全身症状等多彩な症状を呈する。無治療でも数週間で軽快するが、この時期に適切な治療を受けられなかった場合、数年後に複数の臓器に障害がおこることがある。
  • 潜伏梅毒
    梅毒血清反応陽性で顕性症状が認められないものをさし、第Ⅰ期と第Ⅱ期の間、第Ⅱ期の症状消失後の状態を主にいう。第Ⅱ期の症状が消失後、再度第Ⅱ期の症状を示すことがあり、これは感染成立後1年以内に起こることから、早期潜伏梅毒と呼ぶ。これに対して、感染成立後1年以上たつ血清梅毒反応陽性で無症状の状態を後期潜伏梅毒と呼ぶ。
  • 晩期顕症梅毒
    無治療で経過した者のうち、約3分の1で起こる。ゴム腫、進行性の大動脈拡張を主体とする心血管梅毒、進行麻痺に代表される神経梅毒に進展する。場合によっては死に至る。
  • 先天梅毒
    梅毒に罹患している母体から胎盤を通じて胎児に伝播される多臓器感染症であり、死産、早産、新生児死亡、奇形が起こることがある5,6)

 

■参考・引用

1)国立感染症研究所:IDWR 2022年第42号<注目すべき感染症>梅毒外部サイトへのリンク

2)国立感染症研究所:IASR 梅毒2023年現在外部サイトへのリンク

3)国立感染症研究所:日本の梅毒症例の動向について外部サイトへのリンク

4)国立感染症研究所:IDWR 2024年第17週外部サイトへのリンク

5)国立感染症研究所:梅毒とは外部サイトへのリンク

6)厚生労働省:梅毒に関するQ&A外部サイトへのリンク

 

 

【Topics】

≪ゴールデンウィークに海外へ渡航された皆様へ≫

海外においては、国内では見られない感染症が流行していることがあり、海外滞在中に感染する可能性があります。

また、感染症には、潜伏期間(感染してから発症するまでの期間)が数日から1週間以上と長いものもあり、渡航中や帰国直後に症状がなくても、しばらくしてから具合が悪くなる場合があります。その場合は、医療機関に事前に電話連絡して海外渡航歴があることを伝えた上で受診し、渡航先、滞在期間、現地での飲食状況、渡航先での活動内容、動物との接触の有無、ワクチン接種歴等についてお伝えください1)

■参考・引用

1)厚生労働省検疫所FORTH:海外へ渡航される皆さまへ!外部サイトへのリンク

 

疾患別・保健所別5週グラフ

RSウイルス感染症、咽頭結膜熱、A群溶血性レンサ球菌咽頭炎、感染性胃腸炎、水痘、手足口病、伝染性紅斑、突発性発しん、ヘルパンギーナ、流行性耳下腺炎、インフルエンザ、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)、急性出血性結膜炎、流行性角結膜炎の5週間分の保健所別の定点当たり報告数のグラフを掲載しています。

月報

2024年4月の千葉県結核・感染症月報(2024年18週週報)を掲載しています。

新型コロナウイルス感染症

《発生状況について》

2024年18週の県全体の定点当たり報告数は、前週(3.61)から減少し、2.77であった。

2024年18週までの県内の新型コロナウイルス感染症の発生状況について掲載しています。過去の発生状況については以下に掲載しています。

《新型コロナウイルス変異状況について》

県衛生研究所は、国立感染症研究所と協働で、県健康福祉センター(保健所)(千葉市・船橋市・柏市除く)等から収集した検体について新型コロナウイルスのゲノム解析を行い、ウイルスの変異状況を調べています。

その状況についてお知らせします。

 

インフルエンザ/COVID-19定点医療機関から保健所への報告様式

保健所への報告は、報告様式1(小児科定点・インフルエンザ/COVID-19定点用)又は報告様式2(インフルエンザ/COVID-19定点用)をお使いください。なお、集計様式2は、保健所への送付は不要です。

オンライン報告を希望される場合、ちば電子申請サービスから手続きをお願いします(県庁疾病対策課ホームページへ)

梅毒が増加しています!

千葉県では2024年18週に6例届出があり、累計は150例となった。

昨年2023年は1999年の現行感染症サーベイランス開始以降最多となる472例の届出があり、注意が必要です。

2024年18週までの県内の梅毒発生状況について掲載しています。2021年から2023年の過去の発生状況については以下に掲載しています。

腸管出血性大腸菌感染症情報

千葉県では2024年18週に届出はなく、2024年の累計は10例であった。

2024年18週までの県内の腸管出血性大腸菌感染症発生状況について掲載しています。2010年から2023年の過去の発生状況については以下に掲載しています。

インフルエンザ情報

2024年18週の県全体の定点当たり報告数は、前週(1.33)から減少し、0.41であった。

2023/24シーズンの県内のインフルエンザ発生状況について掲載しています。2015/16シーズンから2022/23シーズンの過去の発生状況については以下に掲載しています。

※県内の迅速診断の結果がとりまとめられています。

感染性胃腸炎情報

2024年18週の県全体の定点当たり報告数は、前週(4.78)から減少し、2.22となった。

2023/24シーズンの県内の感染性胃腸炎の発生状況について掲載しています。2016/17シーズンから2022/23シーズンの過去の発生状況については以下に掲載しています。

麻しん情報

千葉県では、2024年18週に届出はなかった(2024年5月8日現在)。2024年の累計は0例である。

2024年18週までの県内の麻しんの発生状況について掲載しています。2008年から2023年の過去の発生状況については以下に掲載しています。

国内で麻しん(はしか)の感染事例が報告されています。麻しんは感染力が強く、空気感染もするので、手洗い、マスクのみで予防はできません。麻しんの罹患歴がなく、2回の予防接種歴が明らかでない場合は予防接種をご検討ください。

また、発疹、発熱などの麻しんのような症状がある場合は、麻しんの疑いがあることを事前にかかりつけ医または医療機関に電話等で伝え、受診の要否や注意点を確認してください。医療機関へ移動される際は周囲の方への感染を防ぐためにもマスクを着用し、公共交通機関の利用は可能な限り避けてください。詳細については、下記ホームページをご参照ください。

風しん情報

千葉県では、2024年18週に届出はなかった(2024年5月8日現在)。2024年の累計は0例である。

2024年18週までの県内の風しんの発生状況について掲載しています。2008年から2023年の過去の発生状況については以下に掲載しています。

リンク

お問い合わせ

所属課室:健康福祉部千葉県衛生研究所感染疫学研究室

電話番号:043-266-6723

ファックス番号:043-265-5544

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